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エンディングノートを活用した相続対策

ご相談事例

 最近よくエンディングノートという言葉を聞きます。書店などでも「エンディングノート」という本が販売されています。

 相続対策には、エンディングノートを書いておけば問題ないでしょうか。また、遺言書を書くことも良いと聞きますが、エンディングノートとは何か違うのでしょうか。

 終活ブームの到来により、多くの相続セミナーなどで「エンディングノート」の作成が提唱されています。この記事をお読み方エ中にも、残される家族のために「エンディングノート」を残したいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか

 他方で、相続対策として「遺言」があります。

 そこで、ここでは、エンディングノートと遺言の違いに触れながら、エンディングノートを書く際のポイント、注意点などをご説明します。

1.エンディングノートとは

 エンディングノートは、病気や加齢によって、自分自身の意思がうまく伝えられなくなった場合や、自分が死亡した場合に備えて、自分の死後や終末期に関する希望や財産のことなど、家族や周囲の人に伝えたいことを記録しておくノートのことです。

 今では、様々な種類のエンディングノートの書式やひな型がありますが、主に、つぎのような事項を記載します。

  1. 作成者の個人情報(氏名、住所、生年月日、血液型等)、歩み(自分史)
  2. 作成者の家族関係や知人、友人関係
  3. 作成者の財産の詳細(不動産、預貯金、株式、保険、ローン等の負債、形見などの思い入れのある動産類)及び処分方法についての希望
  4. 作成者の葬儀に関すること(葬儀の有無、葬儀の方法や規模、法名・戒名に関するもの等)
  5. 作成者の埋葬に関すること(埋葬方法、墓の有無、供養を希望する寺院の有無等)
  6. 作成者に治療が必要な場合における治療方針についての具体的希望
  7. 死後における事務手続き(連絡する相手の指定・連絡先、SNSなどの処分方法、仕事の引き継ぎ等)
  8. 特定の人へのメッセージ

 なお、エンディングノートは本人の備忘録ですので、上記の事項以外にも自由に記載することができます。

2.遺言書との違い

 遺言書は、遺言者の死後に、そこに書かれている内容に沿って、法的効力が生じることを目的として準備する遺言者の生前の意思が記載された書面です。

 エンディングノートも遺言書も作成者の意思が記載されているもので、記載が禁止されている事項がない点は共通します。

 エンディングノートと遺言書が決定的な違いは、法的効力の有無です。

 遺言書は、法律が定める要件を満たしていれば、遺言者の死後、そこに記載された内容の内、民法が定められた遺言事項については、法的効力が生じます。

 例えば、「一人の相続人に遺産を全て相続させる」と記載した場合のように、遺言者が各相続人の相続分について法定相続分とは異なる割合を定めた場合には、法定相続分で分けるのではなく、その一人の相続人が全遺産を相続することになります。

 しかし、エンディングノートで同じことを書いても、原則として遺言としての効力は生じません。

 なお、遺言事項とは、大別すると遺産分割の方法などの財産に関する事項と、子の認知や推定相続人の廃除などの身分に関する事項があります。

 詳しくは別記事がありますので、そちらをご参照ください。

3.エンディングノートに遺言事項が書かれていた場合の効力

 では、エンディングノートに遺言事項が記載されていた場合は、遺言としての効力が認められることは絶対にないのでしょうか?

 民法には、遺言書がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押した書面によって遺言がなされていれば、自筆証書として法的効力が認められる旨が定められています(民法968条1項)。その書面の形状やレイアウトは特に制限されていません。

 したがいまして、エンディングノートに遺言事項が記載されていても、上記の要件を満たしていれば、自筆証書遺言として有効になります(ただし、エンディングノートを自筆証書遺言とする場合、ノートの全てのページについて検認を受けなければならず、相続人や家庭裁判所にとって大きな負担になります。)。

 上記で、「原則として遺言としての効力を生じることはない」と述べましたが、エンディングノートでは上記の自筆証書遺言書の要件を満たしていない場合が多いためです。

 また、エンディングノートに遺言を遺した場合、相続人等が遺言書として認識することは困難な場合も多く、かえって相続トラブルを招くことにもなりかねませんので、別途遺言書を作成することが適当と考えます。

4.エンディングノートの保管方法

 エンディングノートは、自身の備忘録や遺族などへの伝言などとして用いられる一方で、遺産に関する処理なども記載されることから、場合によっては、自筆証書遺言としての性質も兼ね備えている場合があります。

 そのため、自身が死亡後にエンディングノートが残されていることが明らかとなった場合には、その内容次第では、相続トラブルを招く可能性があります。また、エンディングノートの存在が明らかとならないまま遺産分割協議が進んでいた場合に、自筆証書遺言の要件を満たすエンディングノートが出てきた場合には、一から遺産分割協議をやり直さなければなりません。

 したがいまして、エンディングノートは、普段から人目につくところに保管したり、保管場所を信頼できる者に伝えるたりしておくと良いでしょう。

5.エンディングノートの効果的な活用方法

(1)終活入門になる。

 エンディングノートは、将来の自分に万が一のことがあった場合に備えて、自分の伝えたいことを書き留めておくノートです。

 書き方や書く時期等に一切ルールはなく、書きたい時に書きたいことを書きたい分だけ書いておくことができます。

 ノートに記録しながら、終活の内容が理解し、これからやらなければならないことが整理でき、終活を始める第一歩として利用することができます。

 また、相続について考えていただくきっかけにもなります。

(2)将来の相続対策に備える。

 遺された遺族が困らないように、自分が元気なうちから準備しておくことはとても重要なことです。

 相続問題が発生した場合、まず問題になるのは「遺言書の有無」、「財産の全貌」、葬儀等の内容などです。これらのことがエンディングノートをきちんと書かれていると、遺族の負担を少なくすることができます。

 エンディングノートと遺言書、そのどちらもご家族を大切に思う気持ちに変わりはありませんが、遺言書には法的拘束力があり、法律に沿って作成しなければならないため、故人の想いが伝わりきらない場合があります。それを補完するものがエンディングノートです。

 よく一部の相続人に遺産の大半を渡す内容の遺言書が作成され、その内容を巡って相続トラブルに発展するケースがあります。しかし、エンディングノートの中で、なぜそのような内容の遺言書を作成したのか、遺言者の想いを丁寧に記録しておくことで、相続人間の納得度が増し、感情の対立を回避できる効果が期待できます。

 揉めない相続のために、遺言書とエンディングノートを併用することをおすすめします。

(記事作成:弁護士田島直明)

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