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被相続人が遺言書を作成しないで亡くなった場合、相続人全員で遺産分割協議によって遺産の行方を決めることになります。
この際に、遺産の中でも高額になりやすい不動産があると、不動産の評価額によって、遺産の分け方や取得金額に影響しますので、不動産の評価額を巡って相続人で紛争になることは少なくありません。
不動産の評価額について争いが起きやすい理由は、現金などのようにきれいな数字で分割できない点と、不動産には様々な評価方法があるなどといったが理由があります。
そこで、ここでは、遺産分割を進めるにあたって押さえておきたい不動産の評価方法について説明します。
不動産は、実勢価格(実際に市場で取引されている価格)だけとってみても、査定する業者によって数十万円から時には数千万円の誤差が生じることがあります。
その他にも、これから説明する、「公示地価」、「相続税路線価(路線価)」、「固定資産税評価額」といった評価方法があります。
どの評価方法を選んでも、遺産分割協議において問題になることはありませんが、評価方法が1つではないということが紛争の種になるのです。
この理由は、遺産分割の際に「代償分割(特定の相続人が財産を相続する代わりに、その者の財産をほかの相続人に与える分割方法)」を用いる場合、不動産の評価額を次第で各々の取り分に大きな違いが出てきてしまうためです。
例えば、不動産を相続する方からすれば、支払う代償金を減らすために評価額をなるべく下げたいと感じるでしょうし、不動産を相続しない方からすれば、受け取る代償金を多くなるために評価額が高いに越したことはないでしょう。
こうした理由からも、相続人にとって不動産の評価方法は重要な問題です。
それでは次に、主な不動産の評価方法について見ていきましょう。
(1)実勢価格
実際に市場で取引される価格であるため、不動産の評価方法として用いられることが多いです。
ただし、実勢価格は査定する業者によって金額に差が出てくることから、何社かの不動産鑑定業者に査定をお願いし、その中間を評価額として用いる方法がよく利用されています。
(2)相続税路線価(路線価)
相続税路線価(路線価)とは、相続税を算出する際に基準として用いられる価格です。
路線価は毎年改定されることから、相続開始時ではなく、実際に遺産分割時点の年のものを用いることになります。路線価は、こちら(https://www.rosenka.nta.go.jp/)から確認することができます。
なお、路線価は土地の評価額しか算出できません。
また、路線価は、おおよそ実勢価格の8割程度になることが多くなっています。
固定資産税評価額とは、固定資産税路線価に従って算出される評価額です。
この固定資産税評価額は、上記の相続税路線価とは異なり、建物にも設定されています。
固定資産評価額は、毎年届く納税通知書から確認したり、役所(東京23区の場合は都税事務所)から固定資産評価証明書を取得して確認することができます。
固定資産評価額を評価方法に用いる際には、実際に遺産分割時点の年のものを用いることになります。
固定資産評価額は、おおよそ実勢価格の7割程度になることが多くなっています。
公示価格とは、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するものです。
公示価格と時価は一致するものではありませんが、一般の土地取引においても公示価格を無視することはできず、公示価格を指標とするように努めるべきとされています。つまり、「このぐらいの価格で売り買いするのが適正ですよ」と国が示すガイドラインのようなものです。
ただし、公示どこの土地にでも対応できるわけではなく、あくまでも標準地のみとなっています。
そのため、公示価格をそのまま評価額として利用するケースはありませんので、参考程度におさえておくとよいでしょう。
このように不動産にはいくつかの評価方法がありますが、相続人の間で評価方法が合意できるのであれば、どの評価方法を使っても問題ありません。
もっとも、不動産を売却しようと思えば、用いられるのは実勢価格になることから評価方法としては実勢価格を参考にするのがベターといえます。協議や調停では実勢価格を用いることが多いでしょう。
ただし、実勢価格といっても業者によって査定価格に開きが出ることがありますので、遺産分割協議をする際は、相続人全員が納得できるよう慎重に話し合っていくとよいでしょう。
また、相続人の間で、不動産の評価方法等について意見が折り合わず、遺産分割が前に進まない場合はがよくあります。
そういった場合には、まずは一度相続問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
相続問題に精通した弁護士であれば、過去の経験等を参考に、当該事案に即した適切な評価方法や交渉方法をアドバイスしたり、代理して交渉にあたることができます。
(執筆者:弁護士 田島直明)
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